ステパノ最後の言葉
「そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」。こう言って、彼は眠りについた。」(使徒行伝 7:60)
ステパノの最後の言葉は、彼を迫害する者たちが罪を負わせられるのではなく、このことを通して神が栄光を受けることにあった。
ステパノは、彼のことを迫害する者たちの前で、イスラエルの民と神との関わりの歴史をヤコブ、ヨセフ、モーセの話を中心に解説した。解説というよりも、イスラエルの迫害の歴史を指摘し、むしろ民の強情さを悔い改めるように迫った。
「ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。 いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかたの来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかたを裏切る者、また殺す者となった。 あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」。」(使徒行伝 7:51-53)
人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステパノにむかって、歯ぎしりをした。 しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。 そこで、彼は「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。
人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステパノを目がけて、いっせいに殺到し、 彼を市外に引き出して、石で打った。これに立ち合った人たちは、自分の上着を脱いで、サウロという若者の足もとに置いた。 こうして、彼らがステパノに石を投げつけている間、ステパノは祈りつづけて言った、「主イエスよ、わたしの霊をお受け下さい」。 そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」。こう言って、彼は眠りについた。(使徒行伝 7:54-60)
サウロはステパノを迫害する者たちの一人であり、ステパノ殺害に加担した人物であった。しかしステパノはサウロの罪をサウロに負わせないようにと祈ったのである。もしサウロが自分の罪を負わされていたら、後に新約聖書の半分を書いて、多くの人々を救いに導く働きをすることはなかったかもしれない。
私たちは私たちを苦しめる人、道を踏み外した人、罪を犯した者を罰するように願い、あるいは祈るかもしれない。しかし私たちの神は私たちの創造を遥かに超えた偉大な計画を持っておられる。主を信頼する者でありたい。
愛する天のお父様、この地上での最後の瞬間まで、あなたのご計画を信じ、自分の人生も他の人たちのことも信頼し続けることができますように。主イエス・キリストの御名によって、アーメン。