逃げようか迷う時
「アミタイの子ヨナに、次のような主のことばがあった。「立ってあの大きな都ニネベに行き、これに向かって叫べ。彼らの悪がわたしの前に上って来たからだ。」
しかし、ヨナは立って、主の御顔を避けてタルシシュへ逃れようとした。彼はヤッファに下り、タルシシュ行きの船を見つけると、船賃を払ってそれに乗り込み、主の御顔を避けて、人々と一緒にタルシシュへ行こうとした。」(ヨナ書 1:1-3)
ヨナは主からニネベに行き、その町の人々の悪について主の言葉を叫ぶように命じられた。
ニネベは、古代メソポタミア北部にあったアッシリアの都市で、現在のイラク北部の都市モスルに位置する。モスルと言えば過激派組織「イスラム国」(IS)が、かつて最重要拠点とした街で、米軍主導の有志連合の支援を受けながら、イラク軍などが17年7月に解放した。
ヨナは北イスラエルの預言者であり、イスラエルのために預言を行ない、イスラエルを祝福する預言したのに、今やアッシリヤのニネベに行き、悪が蔓延るニネベが悔い改めて、神の祝福にもたらすために遣わされようとしていた。ナホムなどは、ニネベが破壊されることを預言したため、さばきや破壊ではなく、祝福を伝えるために遣わされることは、ヨナの望むことではなかった。
アッシリヤは残虐な国民で、まさに「テロリスト国家」だった。強くなった理由の一つは、征服する時に残虐行為を行って、周囲の見せしめにしたからという。周辺の民は、恐怖によってアッシリヤに降伏していた。被征服民の手足を切り、目を抉り出し、また捕え移す時は鉤を口につけて引いて行ったり、また見せしめに人間串刺しを行ない、また生きたまま皮剥ぎを行ったりと、おぞましい事ばかりで、イスラム国が行っていたことと変わりなかった。
タルシシュは、現在のトルコ地中海岸のタルススとする説とスペイン南部のタルテッソスとする二つの説がある。タルススは、遠洋航海のために大型の船が建設されて、大規模な商船隊が組まれていたので、こちらが有力かもしれない。
ヨナは神から逃亡を図ったが、うまくいかなかった。神は海に嵐を起こし、嵐の原因を探るくじ引きで見事ヨナに当たった。ヨナは海に投げ込まれるが、大きな魚に飲み込まれて一命を取り留める。
私たちも神のご計画から逃げたい気持ちに駆られることがある。あまりにも惨めで、辛い状況に置かれると、逃げたくなる。逃げても良い。ただ、神から逃げることはできないため、もし神の御心なら、私たちは神の計画に戻される。だから、逃げる時に、神の御心は何かを考えて、祈ってから行動に移したい。
愛する天のお父様、私たちはあなたの計画と御心に従う者です。あなたに信頼します。主イエスキリストの御名によって、アーメン。